国民皆保険 2020 2 24

 時々、アメリカの大統領選挙で、
「アメリカも、国民皆保険を導入すべきである」という議論がありますが、
結論から言えば、「無理である」ということになります。
 日本では、国民皆保険制度があるのに、
なぜ、アメリカは、国民皆保険を導入できないのか。
 30年ぐらい前だったと思いますが、
私は、福井市のシティホテルに宿泊したことがあります。
 その時、ふと不思議に思ったことがあります。
机の上には市内のジョギングコースの地図がありました。
 なぜ、旅行先でジョギングするのか。
そもそも、ホテルは、疲れを取り、くつろぐためにある。
それとも、福井市は、ジョギングが盛んな都市なのか。
 これは、ホテルのスタッフに聞いてわかったことですが、
ちょっと、びっくりするようなことでした。
 アメリカでは、医療費が高い。
だから、アメリカ人は、気軽に医者に行けない。
そのため、アメリカ人は、日ごろから健康維持に関心が高い。
 そこで、旅先でもジョギングをすることで、
健康維持を考えるアメリカ人がいる。
 そういうわけで、ホテルの机の上には、
市内のジョギングコースの地図(英語版)があったのです。
 そういえば、日本人がアメリカ旅行に行った時、
現地で、急に盲腸炎になったら、大変です。
手術代が数百万円も請求されることになります。
 だからこそ、アメリカも、
国民皆保険を導入すべきであるということにはなりません。
それは、あまりにも短絡的な思考です。
 現状のまま、アメリカが国民皆保険を導入したら、
すぐにアメリカは破産することになるでしょう。
 日本で国民皆保険制度が維持できるのは、
治療費や薬代が公定価格だからです。
 政府が治療費や薬代を決めているのです。
つまり、政府が、治療費や薬代を決定する際には、
国民皆保険制度を維持できるような価格にしています。
 だから、日本では、超一流の医者にかかっても、
新人の医者にかかっても、料金は同じです。
 アメリカは、治療費や薬代は自由価格なので、
とてつもない金額になるのは見当がつくでしょう。
アメリカでは、超一流の医者は、大金持ちになれます。
 日本の超一流の医者とアメリカの超一流の医者では、
会話が成り立たないのです。
「あなたは、日本で超一流の医者なのに、なぜ貧乏なのか」
 ただし、これからの時代は、
「単純に、日本は、すばらしい」とはならないかもしれません。
 日本の医者は使命感が高いので、
たとえ給料が安くても頑張るでしょうが、
新薬の開発に問題が発生するかもしれません。
 たとえば、抗がん剤の新薬は、
開発に巨額の費用がかかるので、
その費用を薬価で回収しようとすると、
たとえば、薬価が1粒1万円という価格になるでしょう。
そうすると、1日2粒服薬となると、年間では、かなりの金額です。
 これでは、国民皆保険制度が維持できなくなる懸念がありますので、
政府としては、薬価を大幅に下げたいところでしょう。
 そうなると、製薬会社としては、開発費が回収できなくなりますので、
新薬の開発の意欲がなくなります。
その結果、日本の製薬会社は、国際競争力を失うでしょう。
 日本の未来の医療をどうすべきかを議論すべきですが、
国会では、まるで週刊誌の記者がやるようなことを延々と繰り返しています。
日本では、国会が、その機能を失って久しいのが残念です。










































































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